【家族の泣ける話】付き合ってくれた仲間



ウチのオヤジも猫嫌いだったなー。近くへ寄って来るとしかめ面で追っ払ってた。
オヤジは晩酌が日課だったんだが家族が食事が終わってもいつも一人で台所のテーブルで飲んで居た。

ところがいつの間にか飼ってた猫がオヤジの足元でツマミの刺身を貰うようになっていた。
猫が無言で足元に座るとオヤジもナイターを見ながら足元に刺身をちぎって落としてやる。
猫もさも当たり前のようにむしゃむしゃと食ってた。
食い終わってから猫はいつも一声泣いてからその場を去るようになった。
しばらくして猫は病気で死んだ。

猫がお骨になって帰って来た日も仕事から帰ったオヤジはいつもと変わらず晩酌を始た。
お袋がいつものように刺身をツマミにオヤジに出した。
オヤジが意外な事を言った。
「オイ、多いぞ。食い切れん。猫に供えてやれ」と。

それから一週間オヤジは同じことをお袋に言った。
いつも一人酒に付き合ってくれた仲間へのオヤジなりの供養だったらしい。

もうオヤジも鬼籍に入って久しいがオレのオヤジの思い出の一端。