友情の泣ける話

白血病の男の子と看護婦さんとの約束

おれが入院してた時、隣の小児科病棟に5歳くらいの白血病の男の子が入院していた。
生まれてから一度も外に出られない子だと聞いた。
ある日、大声で泣く声がするので病室を覗いてみると、点滴の注射が嫌だと泣いていた。

看護婦さんが、
「我慢しなさい! お注射して、早く元気になりましょうね。 そしておねえちゃんとお外で遊びましょう。」
と諭すと、べそをかきながらも
「うん、分かった。 約束だよ。」と言って必死に痛さを堪えていた。

病室を出て来た看護婦さんをふと見ると、目にはいっぱい涙が溢れていて、ナースステーションの前でしゃがんで泣いていた。

それから一週間後… その子は亡くなった。とても安らかに、眠るように亡くなったと聞いた。
誰も居なくなった病室で、あの看護婦さんがあの子が寝ていたベッドの整理をしていた。

「ごめんね… 約束守れなくてごめんね…」と呟きながら自分の涙で濡れたシーツを抱きしめていた。
自分の死を知らずに看護婦さんと外で遊ぶことを楽しみにして痛さに耐えていた男の子…
死が間近であること知りつつ、必死に笑顔で励ましていた看護婦さん…
病室に戻ったおれも涙が止め処なく流れた。

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