あと一週間で産声を聞けるはずでした。
その日、家で一人、いつもと変わらず過ごしていた私でしたが、急な激痛に襲われたのです。
意識が遠のく中、主人に連絡し、病院へと向かいましたが、ICUで目覚めた私に、わが子の泣き声も笑い声も聞こえませんでした。
聞こえてくるのは主人や家族の哀しみをおさえる音でした。
その子の名前は優月(ゆづき)でした。両家にとっての初孫でした。私の腕の中にいたあの子の左瞼には、月にいるうさぎのようなアザがありました。優月は月からやって来て、月へと帰っていったのだと確信しました。
またわが家においでね。優しく照らす月明かりに、まだなお私たち家族の涙が光っています。