動物の泣ける話

低血糖を知らせる犬

犬の嗅覚は優れていますが、実際に人間とどれくらい差があるのか知っていますか? 匂いを感じ取る嗅受感覚器の数はなんと人間の1000倍もあるといわれています。鋭い嗅覚で私たちにはわからない様々なモノを嗅ぎ分けています。さらに特定の人物の分泌液や薬、呼吸の中に混じっているわずかな物質などを、専門的な訓練によって嗅ぎ分けられるようになると、任務として遂行するお仕事犬として活躍します。

お仕事犬の分野は医療にも広がりを見せています。「糖尿病アラート犬」という低血糖になると知らせる犬の研究、育成がアメリカで行われているのです。
糖尿病は大きく、生活習慣が原因で発症する2型と免疫異常によって発症する1型とに分けられます。前者は中高年以上が多いのに比べて、後者は小児や若年者に多いのが特徴です。特に子供の場合、低血糖状態を意識して生活を送ることは非常に困難だといえます。例えば家で留守番でしているときや友達とでかけているとき、睡眠中などに低血糖になることだってあります。そのとき適切な対処を行わなければ意識障害、昏睡、最悪命の危険もありえます。

2008年、アメリカで1型糖尿病を患っているひとりの女の子の元に、糖尿病アラート犬がやってきました。これまでは友達とも自由に遊べない、夜中に血糖測定をしなくてはいけないためぐっすり眠ることもできないという生活を送っていましたが、アラート犬が来てから一変します。

女の子が低血糖になりそうになると鋭い嗅覚で感知して肘をつついて合図を送り、血糖値を上げるためのブドウ糖や砂糖を食べることで予防できます。さらに意識障害を起こした場合には吠えるなどして周囲の人に助けを求めてくれるのです。

夜のベッドや留守番中、友達同士で出かけるときに必ずアラート犬と共にいることで、女の子はとても活発になり、安心して眠ることができるようになったそうです。
低血糖に悩む多くの子供たちが安心して暮らせるようになれるよう、「糖尿病アラート犬」の認知度が高まり、増えることを願うばかりです。

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