家族の泣ける話

クソガキ

訳あって引き取り、育ててたかわいげ皆無なクソガキが、結構いい大学に受かった。

正月に親戚が集まったとき、俺の嫌いなおばちゃんに

「私たちのところで引き取ってたらもっといいところに行けたかもね」

って、そいつが言われてた。

そもそも、そのおばちゃんは、こいつを誰が引き取るかっていう親族会議になったとき、「私は絶対嫌」って本人の前で言いやがった。

 

一番経済的な余裕があるのに!

それで俺が勢いで「じゃー俺育てます」って言っちゃったんだけど。。。

俺はイライラしつつも、

「ああそうなのかもな、俺がもっといい会社に就職したりはやく出世したりしてれば、こいつにもっといい環境を与えてやれただろうし、塾だって通わせてあげれたのにな」

「よく考えれば俺があのときこいつを引き取るなんて言わなければ他のもっと金持ってる誰かがこいつを引き取っただろうし」

「あぁ、俺もしかして悪いことしちゃったのかな」

って思ってた。

そしたら、そのクソガキ、

「今の自分があるのは○○(俺の名前)さんのおかげだし、俺がこんなとこに受かれたのも○○さんのおかげです」

って。

言ったんだよ。

おばちゃん沈黙。

そいつ、普段俺の名前に「さん」なんかつけないんだ。

常に、えっらそーに俺を呼び捨てなんだ。

なのに。。。

本当に死ぬほど嬉しかった。

今まで生きてきた中で、一番嬉しかった。

帰りの車で、俺すっごい浮かれてて、そのガキに

「ありがと」

って言ってやった。

そしたら、クソガキが怪訝な表示した後、しばらくしてからマフラーに顔埋めて、そっぽを向いた。

どうやらクソガキは、その自分がその言葉を言った時、俺が襖一枚向こうにいたのを知らなかったらしく、「ありがと」と言われたことに照れてるらしかった。

すっげえかわいかったwww

俺、こいつ引き取ってからこの瞬間まで、こいつをかわいいって思ったことなかった。

クソ生意気で、補導はされるわ、女連れ込むわ、俺の大っ嫌いな煙草をわざわざ俺の寝室で吸うわ。

もう、本当にどーしよーもないガキだった。

けど、もう本当かわいかった。

実際に子供いたらこんな感じなのかなって思った。

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