私の親友(♀)の話をしてみます。
その親友は一見おっとりして童顔なので、よく痴漢やそのテのフェチ男に遭遇する事が多かったけれど、本気の恋愛をした事がなかった。
幼い頃から家庭の事情で色々苦労したりしていた親友には、『良い人がいたらいいなー』と思っていた。
そんな親友に彼氏ができた。
結構イケメンで背は高くないけれど、優しそうな人だった。
ぱっと見では遊んでいそうな外見の彼氏だったけれど、そんな外見とは裏腹に結構まじめで何事にも一途な人。
そんな彼氏だから、仕事が忙しくなると親友はよく一人で寂しがっていた。
けれど、親友は頑張って付き合っていた。
そして昨年、その彼氏が親友を連れて彼氏の実家に帰省した。
その時の事を親友はよく話してくれた。
「彼氏さんのお家はあんまり裕福じゃなくて、お父さんもいなくて、彼氏さんは幼い頃からずっと苦労して家を支えていたみたい。
だからかもしれないけど、お母さんがあたしが来るからと聞いて、山ほどのお料理を用意して待ってくれていたの。
どのお料理もお母さんの手作りで、どれも普通の家庭料理だったけれど、すごく優しい味で、とってもおいしかった。」
その帰省から親友は、寂しくても泣かなくなった。
今年の11月、彼氏は実家にあった借金を全部返済しおわった。
彼氏が幼い頃、父親が多額の借金をしたまま蒸発して、母親と彼氏の二人が必死にその借金を返済していた事は、親友も11月まで知らなかった。
その二人が、来年結婚する。
彼氏は貯金ゼロだけど、親友は迷うことなく求婚を受けたそうだ。
「貧乏でも、きっと暖かい家庭が出来ると思う。だからあたしは、それで十分なの。」
そう言って私に婚約の報告をしてくれた親友の笑顔を見て、私は思わず号泣してしまった。
親友も彼氏も、頑張った人独特の良い笑顔だった。
この二人なら絶対に幸せになれると思う。
こんな二人の友達で、私はちょっと誇らしく思える。
次は私が頑張らなきゃって思った。