『いっぱいの幸せをありがとう。』
『私は幸せ者だ。』
『だって、最期にあなたの顔を見れたから。』
『これも日頃のなんとやら、なのかな?』
病室のベッドで手を握りながら、彼女は言う。
「最期ってなんだよ。」
「お前は死なない、そうだろ?」
泣きながら返す僕を見て笑いながら
『○○、前言ってたよね?』
『私が先に死んだら、俺も後追うよって。』
震えた声で彼女が言う。
「あぁ、すぐに行くから先行って待っててな!」
俺は本気で返した。
彼女がいない世界なんて、きっと色のない世界と同じだと思うから。
『ありがとう。』
『でも、絶対に来ないで。』
『その言葉が聞けただけで私は満足だよ。』
『あぁ、幸せだなぁ。』
『いい?』
『あなたは絶対に違う人を見つけて幸せになってね?』
『私の事は忘れて下さい。』
『大好きなあなたの足枷にはなりたくないの。』
『絶対に私の後を追わないで!!』
『約束しないと化けて出ちゃうよ?(笑)』
返事が出来なかった。
ここで返事したら、彼女がもうすぐ死ぬ事を認めてしまうようで怖かった。
頭では理解してるつもりだが本当に認めたくなかったのだ。
『ゆーびきーりげーんまんうーそついたら…』
そうかすれた声でいいながら、彼女は天国へ旅立ちました
あれから2年。
好きな人は出来ないや。
だって、お前じゃなきゃ意味ないもん。
お前とじゃなきゃ楽しくないもん。
でもな、後を追おうと思ったけど、約束守って追わなかったよ。
俺まで死んだらお前との思い出が、この世界から消えてしまうから。
辛いよ、毎日本当に辛いよ。
いつかは俺もそちらに行きます。
その時はいっぱいいっぱい話しようね?
いっぱい、いっぱい抱きしめて
いっぱ、いいっぱい頭なでて
いっぱい、いっぱいキスをしよう。
幸せをありがとう。
あと少し頑張って、這いつくばってでも、生きてみます。