僕が高校生だったころの泣ける話です。
僕はある進学校の生徒でした。2年生のときにたまたま後ろの席になったのが、彼だった。
彼も僕と同じ公立中学出身でバレーボール部に所属していた。
僕と比べると成績優秀で偏差値も高くて東大を目指していた。
夏休みを前にしたある日、先生から告知があった。
彼が病気で入院をすることになったとのこと。
そのときは、まだ若いから大した病気ではないだろうと思った。
ところが、夏休みを過ぎても彼が登校することはなかった。
その後、何度か登校してきたが、来たり来なかったりといった感じで、治療を続けているようだった。
高校は1年ごとにクラス替えがあった。
そうこうしているうちに、3年生も終わりとなり、クラス替えの時期になった。
結局彼とは会うこともなく、クラス替えとなりその後どうなったのかということを知ることもなかった。
高校3年になったときに、下校後に図書館に行くと、たまたま彼がいて話しかけてきた。
「久しぶり!」と声をかけてきたので、「病気はよくなった?」と聞いた。
その時は命に関わるような病気だと思っていなかったので、そのようなことを聞いたのだった。
彼は、司書さんに「医学書ありますか」と聞いていました。
医学書は開架棚にはないため、司書さんが奥から持ってきました。
その様子を見ていると「おかしいな尻にできるわけないんだけどな~」と言っていた。
皮膚に何かできたようで、それの治療をしているということがわかった。
それが、彼と会った最後になった。
僕はそのまま彼と会わずに卒業し、大学に進学することになりました。
卒業アルバムには彼のコメントが「みんな長生きしよう」となっていました。
それから数年後、高校時代の同級生と会う機会があり、彼が亡くなったと聞いた。
そのときはじめて、彼が重い病気だったことを知り、最後に別れたときにあんなことを言ってしまったことを後悔した。
地元のことを考えるとき、ときどき彼のことを思い出すことがある。
彼が生きていたら、たぶん東大に進学して、成功していたはずだ。