俺には3年付き合った彼女がいたんだけど、2年前のある日彼女が事故に遭いました。
(俺と会う約束をしてて青信号を急いで渡ってたら右折した車にはねられた。)
すぐ病院に運ばれた彼女はなんとか一命をとりとめたんだけど、生きてるのが奇跡ってぐらいの大事故で、
下半身不随、顔面マヒ、右足切断はのがれられない状態になってしまった。
だけど俺、馬鹿なことに彼女が事故にあったなんて全く知らなくて、彼女が事故にあった日も普通に家で彼女を待ってていつまで待ってもこないし電話も繋がらないからイライラしてたり心配したりしてた。
彼女の両親に連絡したら「今は家にいて勉強してる」とか言われるし、
「俺もう無理なのかな?なにか怒らせたのかな?」とか
へこみまくる毎日を過ごしていたある日、彼女からやっと一通のメールが。
『わかれよう』
見た瞬間「あぁ、やっぱり」って思って涙が止まらなかった。
電話をしてもでないし、メール送っても返事はなかった。
あれだけ仲よかったのに、こんな終わり方とかどぉなんだよ!
と毎日怒りと悲しみで荒れ狂いながら友達と失恋の痛みを癒すために朝まで飲み歩いていた。
半年ほどたったある日彼女の妹と偶然近所のコンビニで会った。(彼女とは地元が一緒)
俺の姿をみてビックリする妹に俺は笑いかけながら「元気?○○(彼女の名前)も元気にしてる?」と聞いたら、妹はうつむいて何も話そうとしませんでした。
「どしたん?」言いながら妹の頭を撫でてやると意を決したように
「お姉ちゃんのことまだスキ?」と聞かれました。
「めちゃめちゃ大好きだよ~」って苦笑いした途端妹の目に涙があふれでてきて、
「お姉ちゃんも●●(俺の名前)のこと大好きなん。●●を会わしたいよ」って泣きながら言われました。
テンパる俺に妹が涙目で見つめながら
「●●はどんな姿のお姉ちゃんでも好きですか?」と聞いてきた。
そして俺はやっと勘というものが働いた。
「○○になにかあった?」
ゆっくり頷く妹をみて俺の目の前は真っ白になった。
聞くと半年前、俺と遊ぶ約束したあの日に彼女は事故に遭った。
『わかれよう』ってメールは彼女に頼まれて妹が打って送ったという。
「お姉ちゃんは今右足ないし、ほとんど喋れないし、オシッコも一人でできないし、字もかけないし、ケイタイも触れない。
でも●●からのメールや電話がある度に嬉しそうにしたり悲しそうにしたりしてる」と。
俺は本当に自分が馬鹿だと思った。
悔しくて悔しくて仕方なかったし、なんで第6感が働いて彼女の危機を知れなかったのか、
もっと彼女の状態を知ろうとしなかったのか。
本当に悔しくて悲しくてその場で号泣してしまった。
彼女の妹(あ、言い忘れてたけど彼女の妹は当時小4で、俺と彼女が19歳でした。)と喫茶店で色々話をした。
彼女の今の状態、今でも俺が大好きでよく泣いてること、
「こんな状態で生きてても辛いだけ、楽しくない」って何度も自殺未遂を犯したこと。
今の彼女の姿をみて俺は普通を装えるのか?
不安になりながらも俺は彼女に会う決心をしました。
病室に入るとそこは無人でした。
「この時間はお姉ちゃんトレーニングの時間だからあと20分ぐらいしたら帰ってくるよ」
妹が時計を見ながら言いました。
部屋を見渡すと、ベッドには俺との写真や、二人でUSJに行った時に買ってあげたぬいぐるみが飾られ、
カレンダーには俺たちが付き合った7日の所に赤でいびつな形のハートマークが書かれていた。
動かしにくい手を動かして書いてくれたんだなぁと思いながら、色々な所に目をやる。
部屋にはかすかに彼女の匂いがするような気さえした。
椅子に座って妹と話をしながら待つことにした。1分1分が物凄く長く感じる。
そして妹が言っていた予定時刻になった途端、ノックと同時に病室の扉が開いて車椅子に乗った彼女と付き添いの看護婦さんが現われた。
彼女が俺をみた途端動きが止まる。
俺は彼女に会ったら変わり果てた姿をみて泣いたり、ひいてしまったり、
普通に接することができないんじゃないかと不安だったけど
彼女を見た途端俺は嬉しくて嬉しくて嬉しくて気付いたら彼女を抱き締めていました。
- 抱き締めた彼女は折れそうなくらい細くなっていて、髪の毛からは俺の知ってるシャンプーじゃない匂いがしました。
- でもすべてが彼女で懐かしくてたまりませんでした。
- 「なんで言ってくれんかったん!」更に力を込めてぎゅー!と抱き締めた。
- 「○○・・・」彼女が一声一声をしぼりだすようにして俺の名前を呼んだ。
- 彼女の顔を見ると、涙があふれていて、俺もつられて泣いてしまった。
- ・・・カッコ悪くてごめん。
- 気付いたら看護婦さんも妹も病室にはいなかった。
- きっと気をきかせてくれたんだろう。
- 彼女の顔をマジマジとみる。
- 口が閉まらなくなってしまったようだが、目元や口元にあるホクロは俺のよく知ってる彼女だった。
- そして彼女にキスをして、
- 「気付いてやれんくてごめんな、ホンマ大好きやからもう一回付き合ってください」
- ってまた彼女を抱き締めました。
- 彼女は泣きながら何か言いましたが聞き取れませんでした。
- 俺が聞き返そうとすると彼女は無言で何度も頷いてくれた。
- 「どんな姿の○○でも俺には必要な子だからね、
- ホンマに付き合ってくれてありがとう!」
- って言いながら彼女の涙を何度も拭き取りました。
- で、俺たちは晴れてまた付き合うことができました。
- 足がない分俺が彼女の足になって支えるし、
- Hはできないけどキスできるし彼女とまたこうして隣同士でいれて幸せです。
- そしてついこの間、彼女がリハビリを受けてる間に机を開けたら一冊のノートがでてきました。
- こっそり中をみてみると、どうやら字を書く練習をするためのノートのようで、一冊まるまる使いきっていました。
- ガタガタの歪みきった字で『1』とか『2』とかいった数字や、『りんご』『あかあお』といった簡単な単語が並んでいました。
- そしてどんどんとページをめくっていくにつれ、俺の名前をたくさん練習した形跡が。
- 『●●に会いたい』
- 『●●大好き』
- 『●●つらいよ』
- 『●●にあえなくてさみしい』
- といった文章がたくさんでてきました。
- 離れ離れの間俺のことをこんなにも必要としてくれて想ってくれてたのかと思うと涙がでてきました。
- 本当に彼女に出会えてよかったです!
- で、今自分を振り替えるためにこの話を打ちながら婚姻届を貰ってきました!
- 今から彼女に渡します!