家族の泣ける話

まずい水

僕は嫌いな人がいる。
と言った時、母は見るからにまずそうな水を持って来て、
『まずい水をおいしくするには、飲む前におもいっきり走って来て、辛いもんをいっぱい食べてみればいぃ。
そぉしてから水を飲めば、どんな水だって美味しく感じる事ができる。
自分が変われば、まずい水は美味しくなるんや。』
って言ってくれた。

最初、言うてる意味がわからんかったケド、まずい水を嫌いな人に例えて言ってくれたんかなぁ。って後で思った。
嫌いな人ができたら、まずい水を美味しくした時みたいに、自分が変わればいぃんやって思えるようになった。

だから僕は嫌いな人がいません。
自分さえ変われば、どんな人だって、自分にとってかけがえのない人になる事を母が教えてくれたから…でも、どぉしてもわからん事がある。

なんで、こんなえぇ事を教えてくれた次の日に、死んでしまうんや。
母さん、あん時、意味がわからんかったケド、母さんの言いたかった事に気付けたで。

母さん、ありがとう。

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