家族の泣ける話

結婚と離婚

私と主人は、4年間の交際期間を経て結婚しました。一緒に居るとホッとする人で、これから一緒に年を重ねていくイメージが出来る人でした。とても優しい人で、交際期間中は全くと言っていいほど喧嘩も無く、この先もこの関係が続くのだろうと信じていたのですが。
結婚して暫くは、幸せでした。お互い仕事が忙しくて、一緒に居る時間は少なかったのですが、毎日が充実していました。その後、妊娠が発覚して段々と私達夫婦の関係は変化していきます。
お腹に子供がいる。その事実は今まで生きてきた人生の中で、最も幸せを与えてくれるものでした。主人も私の妊娠を、心から喜んでくれました。お腹に手を当てて声をかける幸せな日々。そして、待望の男の子が産まれました。ここまでは良かったんです。今となっては何故か分かりませんが、生んでから私の心に変化が生まれました。「この子を守らなければ」という強い母性本能のせいなのか、それとも余裕の無い日々のせいなのか、段々と主人に厳しく当たる様になってしまいました。

「どうして私ばかり」「あなたがしっかりしてないからでしょ」と主人を責めたてます。そんな私なんて、愛せるはずがありません。主人は悪くない。分かっているのに言葉は止まりませんでした。いがみ合いが増え、そして遂に別れ話に発展してしまいます。結局、私はまだ2歳の子を連れてシングルマザーになってしまいました。

1人になってからの日々は、想像以上に大変なものでした。働かないといけないのに、すぐに保育園から電話がかかってくる毎日。これでは正社員にもなれない。将来の不安を抱えながら、必死に毎日を生きていました。そんなある日、別れた主人から連絡が入ります。子供に会いに行きたいと。私は複雑な気持ちで、子供を連れて会いに行きました。そこで待っていたのは、いつもと変わらない父親の優しさでした。

そして、帰り際に子供にとプレゼントを渡されました。家に帰ってから開けると、そこには子供の大好きな車のおもちゃと、一通の手紙が入っていて、そこには不器用な字でこう書かれていました。「君が泣けば僕も悲しい。君が笑えば僕も嬉しい。」言葉を紡ぐ事が苦手な主人からの、精一杯のメッセージでした。泣きました。涙が止まりませんでした。主人はこんな私を、まだ愛してくれていたのです。その後、話し合いをして今はまた家族として、お互いを尊重しあって共に生きています。当時は辛かったですが、一度別れなければ気付けない事もあったでしょうし、これで良かったんだと思っています。今はとても幸せです。

-家族の泣ける話