猫エサ缶とコーヒー



俺はコンビニで一人夜勤をしている。

いつも夜中の3時くらいに、猫エサ缶とコーヒーを買って行くおっちゃんがいる。

おっちゃんが、

「うちの猫はこれしか食べないんだよ」

なんて話してくれたりして、猫好きな俺はいつも癒されていた。

初めて会話してから半年ほど経ったある日、レジに来たおっちゃんの買い物カゴの中に猫エサ缶が無かった。

俺はどうしたのかと思ったが何も言えず、コーヒーをスキャンした。

すると、おっちゃんが笑顔でポケットから写真を取り出して言った。

「いつもありがと。これうちの」

年老いた感じの痩せた猫だった。

死んでしまったらしい。

「もうエサは買わなくて済むわな」

なんて笑いながら話していた。

俺は泣いたよ。