仕事の泣ける話

電車の中で見かけた元上司

私はある上場企業の子会社に転職することにしました。

もともと働いていた会社は、大学卒業してすぐに入社した会社でした。

大学生活が長かったこともあり、他の同期よりも高い年齢で入社しました。

そのため、追いつけ追い越せという気持ちが強く、頑張って働きました。

新卒2年目に昇進試験を受けることになりましたが、力及ばず落ちてしまいました。

評価もDとなり、昇給もなくなってしまいました。

そんな中、何気なく登録した転職サイトのエージェントから誘われた企業に応募しました。

やりがいのある仕事でしたが、契約社員というのが気になっていました。

最後の最後まで迷いましたが、やりがいを求めて転職することにしました。

仕事もそうですが、面接をした上司となる方の人柄を気に入りました。

契約社員ですが、契約期間は2年間でした。

ちょうどその時期、法律改正により契約社員は5年間働くと契約期間のない社員に変更できるようになりました。

私は正社員になることを目指し、働きました。

2年目になろうとしたとき、再雇用の話があり当然のこととばかり再雇用しました。

しかし、気になったのはその契約期間でした。

これまで2年間だった契約期間が大幅に短縮されていました。

そして、同期で入社した契約社員がほとんど再雇用せずに会社を去っていきました。

それでも、正社員になるという目標があった私は、雇用のことは気にしないようにして働き続けました。

半年ほど経過したころ、上司の課長に呼ばれました。

開口一番「〇〇にとって残念な話がある」と言われました。

会社の人員計画により、契約社員は全員再雇用なしに雇い止めとするとのこと。

それは、3年まであと2か月の時期でした。

あれから、もう5年が経過しました。

私は、今、ある上場企業の正社員として働いています。

契約社員を雇い止めになった後、別の会社の派遣社員となり、そこでも雇い止めとなりました。

その後派遣された、今の会社に派遣社員として入社。

そこで働きぶりが認められて、正社員になることができました。

通勤電車に立って乗っていたときに、ふと座席を見ると、かつて私を採用し、そして雇い止めにした課長が座っていました。

その瞬間、5年前のことがふっと思い出されました。

今でも採用してもらったことに感謝していて、雇い止めにされたことは恨んではいません。

そんなことよりも、自分が今、正社員として働いていることを知ってもらいたいという気持ちがありました。

でも、声をかけることはしませんでした。

今度どこかで出会ったら、声をかけてみようと思っています。

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