これは20年以上も前のお話です。
当時、携帯電話もまだ普及していなかったので、高校生や大学生はポケベルを持ち歩いていました。
インターネットでのメール交換もありましたが、携帯でメールをやるのはあまり一般的ではありませんでした。
ちょうど移行時期だったと思います。
当時、私は大学生でしたがあまり友達も多くなかったため、ポケベルも携帯電話も持っていませんでした。
ある日、何気なくテレビを見ていると、あるドキュメンタリー番組が放送されていました。
男子高校生が情報誌に掲載されていたベル友と出会い、実際に会うまでの内容でした。
そのときは、「こんな出会い方があるんだ」という風に見ていただけでした。
当時、私は大学の研究室に配属され、パソコンを自由に使える環境でした。
また、自宅でもテレホーダイを導入してチャットなどをしていました。
そんな中、メールで友達を募集する掲示板があることを知り、メール交換をする相手を見つけました。
何通かメール交換をすると、なぜか返事が来なくなってしまい、寂しい気持ちになりました。
メールだと見ない人もいるし、相手を思いやったりできないのではないかと考えていました。
そんな中、ベル友のドキュメンタリー番組のことを思い出しました。
ベル友ならリアルタイムで会話ができるし、返事が途絶えることもないのではないかと思いました。
早速、ドコモのお店に行き、ポケベルを契約しました。
相手は情報誌ではなく、インターネットの掲示板で募集しました。
しばらくすると、何人かメッセージをやり取りするベル友が見つかりました。
そのうちの一人と、ポケベルだけでなく、チャットやメールを交換をする中のよい人が現れました。
数か月経過したころに、お互い写真を送ってほしいという話になり、私はデジカメで撮った写真を送りました。
当時、カメラ付き携帯も普及していなかったので、相手は写真を撮って送れないということで、プリクラを郵送してもらえるということでした。
そのころ、ポケベルで連絡を取って、チャットに呼んで会話をしたりしていました。
写真を送ってから、何だか相手が冷たくなった感じがして、チャットにも来てくれなくなりました。
チャットに来てくれないことについては理由を説明してくれませんでしたが、プリクラを送る約束は守ってくれました。
しばらくすると、送り先だけ書かれた手紙が送られてきて、確かにプリクラが1枚入っていました。
その中に次のような内容の手紙が書かれていました。
「プリクラは約束したことだから送ります。でも、もう連絡を取るのはやめます」と。
事情が知りたくで一生懸命、メッセージを送ったり、メールを送ったりしました。
なかなか答えてくれなかったのですが、ようやく一通のメッセージが来ました。
「顔が好みじゃない」とのこと。
その後も関係修復を試みたのですが、だめでした。
連絡を取らなくなり、理由を言わなかったのは、高校生だった彼女の精一杯の気遣いだったのかもしれません。
あれから20年以上経過し、私は結婚して幸せに暮らしています。
時々、あのときのベル友は元気にしているかどうか気になることがあります。