携帯電話もLINEもなかった20年以上前の話です。
当時の連絡手段は固定電話のみで、一度別れた恋人とは二度と会うことは滅多にありません。
ある日、街中を歩いていると、見たことのある男性がいました。
「もしかして、しんちゃん?」
私たちは意気投合して、その日の夜に飲みに行くことに。
しんちゃんは、以前付き合っていた彼氏です。
当時、私の借りていたマンションで同棲をしていました。
社会人ラグビーの選手だっただったしんちゃんは、がっしりとした体で包容力がある男性でした。
大好きだったしんちゃんですが、私には大きな不満がありました。
いつも遊んでばかりいるしんちゃんは、休日にデートもしてくれず、私は寂しい思いをしていました。
ある日、しんちゃんは何も言わずに出て行ったまま帰ってきませんでした。
それが、しんちゃんとの別れでした。
5年ぶりに会ったしんちゃんは、ずいぶんと痩せて小さくなった感じがしました。
髪の毛には、白髪がちらほらと出ていました。
別れてからのしんちゃんの人生にいったい何があったのでしょうか。
しんちゃんは、あまり過去を多くを語らなかったので、真相はわかりませんでした。
夜も更けていき、帰宅する時間に。
その時、お互い付き合っている人がいませんでした。
私は、別れ際に「もう一度やり直さない?」と言おうかと思いました。
でも、喉元まで出かかったその言葉を言うことができませんでした。
そのまま連絡先も交換せずにお互い別れました。
時々、しんちゃんがどうしているのか気になり、facebookで名前を検索したりしますが、見つけられません。
もうしんちゃんとは出会うことはないと思います。