恋愛の泣ける話をご紹介します。
大学生の優樹と玲奈は、同じサークルのメンバーで、初めて出会った時からお互いに特別な何かを感じていた。
しかし、二人の恋はすぐには進展しなかった。周りの友人たちは、明るくて世話好きな玲奈をみんなが頼っており、彼女には数多くの友人がいたため、優樹は彼女の一人になることに甘んじていた。
優樹は玲奈に恋をしていたが、その気持ちをずっと隠していた。
何度も告白しようと思ったが、彼女との関係を壊してしまうことを恐れていたからだ。
玲奈は笑顔で、「優樹くんは大事な友達だから！」と言ってくれるたびに、彼の心は少しずつ苦しくなっていた。それでも、彼は玲奈の側にいるだけで幸せだった。
二人が一緒に過ごす時間が増えるにつれ、優樹は少しずつ玲奈の気持ちも変わってきているのではないかと感じるようになった。
二人きりで過ごすとき、玲奈の視線が少し長くなったり、笑顔が以前よりも優しく見えたりしたからだ。ある日、玲奈から「今度、優樹くんと二人で出かけたいな」と言われたとき、彼はついに「チャンスが来た」と思った。
二人の初めてのデートは、玲奈が以前から行きたがっていた水族館だった。
館内を歩きながら、玲奈は楽しそうに魚たちを見て笑っていた。その笑顔に見惚れて、優樹はつい「本当に好きなんだ」と感じた。
そして、勇気を振り絞り、デートの最後に玲奈に告白をした。
「玲奈、俺、ずっと前から君が好きだったんだ」
一瞬、玲奈の顔が驚きで固まった。しかし次の瞬間、彼女の目には涙が浮かび、彼女はそっと微笑んで「私もだよ」と答えてくれた。
優樹は信じられない思いだった。長い間想い続けてきた彼女が、自分の気持ちに応えてくれたのだ。
二人はそこで初めてのキスを交わし、恋人としての新しい生活が始まった。
恋人同士になった二人は、幸せな日々を過ごしていた。
デートを重ねるたびにお互いのことを深く知り、将来のことも少しずつ話すようになっていった。玲奈は「いつか二人で旅行に行きたいな」と言い、優樹は「じゃあ卒業旅行は一緒に行こうか」と笑って答えた。
しかし、玲奈が卒業間近になってから、少しずつ不安が増えていった。
玲奈は都会の大企業から内定をもらい、忙しくなることが予想されていた。一方、優樹は地元で就職する予定で、将来の進路がすれ違っていたのだ。会話の中でお互いの不安を打ち明けることもあったが、「どうにかなるよ」と言って笑い飛ばす玲奈の姿に、優樹は励まされていた。
ある日、玲奈が突然「話がある」と言い出した。優樹は不安な気持ちを抱えながらも、「ちゃんと向き合おう」と覚悟を決めて彼女と向かい合った。
「優樹、私は都会での生活に専念したいの。だから、私たちの関係を一旦終わりにしようと思う」
その言葉を聞いた瞬間、優樹の心は真っ暗になった。
ずっと一緒にいたいと思っていた人が、自分から離れていくことを告げたのだ。涙を堪えきれない玲奈の顔を見たとき、彼は彼女が苦渋の決断をしていることを感じ取った。
優樹もまた、玲奈を引き止めるべきか、受け入れるべきか悩んだ末に、「分かった。君の夢を応援するよ」と答えた。しかし、その言葉を口にした瞬間、彼の心は張り裂けそうだった。
最後の夜、二人はお互いに無言のまま手を繋ぎ、歩いた。
その時間は何も言わなくても、お互いの気持ちが伝わっている気がした。
そして別れの場所、二人が初めて告白を交わした水族館にたどり着いた時、玲奈は泣きながら「ごめんね、優樹」と呟いた。
「玲奈、君が幸せならそれでいいんだよ」と答えた優樹もまた、涙を堪えきれなかった。
玲奈が都会に旅立った後、優樹は一人の生活に戻った。彼女との思い出が頭から離れず、日々が寂しく感じられた。
それでも、彼女の夢を応援すると約束した手前、自分も成長しようと必死だった。
月日が流れ、優樹は次第に新しい生活に慣れていったが、玲奈への想いは心の奥底に残り続けた。
彼女もまた、都会で新しい生活を始め、充実した日々を送っていたものの、ふとした瞬間に優樹との思い出がよぎり、涙が浮かぶことがあった。